BPSD治療における老健の存在-少量薬物療法を通して見えてきたもの
第33回 日本認知症学会学術集会(岩手)
はじめに
認知症の現場ではBPSDを併発した患者の対応に苦慮している。当施設では老健認知棟ショートステイ(以下SS)で少量薬物療法を施行し、BPSDを軽減させ在宅へ帰す試みを行っている。これに関連した諸問題を検討するとともに老健がBPSD併発患者にとって最適の場となりうるかを検討したので報告する。
対象及び方法
平成24年4月から26年3月までの2年間に入所したBPSDを併発した認知症例27例を対象とした。さらに薬物療法による施設側と患者家族側のメリットや薬物療法導入における施設スタッフの問題点等を調べた。
結果及び考察
薬物療法により改善15例、やや改善6例で合わせて21例(78%)であった。変化なしは3例(11%)で、過鎮静が3例(11%)に見られたが満足のいく結果であった。薬物療法による施設側のメリットは介護士が疲弊しない、他の入所者に迷惑がかからないなどが挙げられ、家族側からすると従来のようにSSが2~3日と制限されない、介護疲れに大いに役立つとの事であった。また薬物療法を導入する際には、施設長が学び直す必要があり、看護師、介護士、ケアマネージャーも教育が必要であった。
まとめ
老健は医療と介護の両方を備えた施設であり、BPSD患者をケアするには他の施設と比べても最適な施設であると思われた。