第26回全国老人保健施設大会(神奈川)
平成27年9月3日~9月4日
タイトル:BPSDにおける少量薬物療法の利点 ~家族崩壊防止において~
演者:後藤 慎也

目的

現代社会において認知症のBPSDにより、悩み苦しむ家族が増加している。家族の中には自殺を考えていた人もいた。多くの家族は自分たちで解決しようと試みている心優しい家族であった。私たちは家族の介護負担を少しでも減らす事が出来るよう、最善の案を考えてきた。その一つが少量薬物療法である。医師・看護師・介護士の他職種連携型で本人を観察し、BPSDを減らしてきた。家族が介護に燃え尽きてしまえば、きっと最も良くない結果で終わってしまう。私たちは家族の精神的・身体的ストレスを多く解消してきたので報告する。

方法

他職種が連携して報連相を行い、薬物による過鎮静が起こらないよう、本人の小さな違いについても記録等を確実に残す。本人の様子を細かく観察し、介護士から看護師、看護師から医師に的確な内容を毎日伝えていく。又、24時間本人をみる事の出来る体制を作っている。

結果

少量薬物療法を行うことで、家族の負担は大幅に軽減する。今までは介護の負担で頭が一杯であった家族が、進んで介護に取り組んで下さるようになった。それは今までの本人と今の本人の違いに、介護の行いやすが楽しさを芽生えてきているからであると考えられる。私たちが何より嬉しかった事は、家族に心から感謝されるのと同時に、家族に笑顔が増えた事である。感謝と笑顔は私たちにとって最高のお礼である。少量薬物療法とは家族と本人の、第二の人生を支援する事に繋がる。又、少量薬物療法の施行後、本人の意志疎通が行いやすくなっている。それは少なからず以前の本人らしさを取り戻しているように感じる。

考察

今後、超高齢化社会になるにつれてBPSDで悩む家族が増加すると考えられる。そこで一つの手段とした少量薬物療法が重要になってくると思われる。BPSDは介護の力だけで、無くす事は非常に難しい。私たちがBPSDの事を考えている間に家族は燃え尽きてしまう可能性もあり得る。家族が中心となって介護をして頂く為にも、私たちは少量薬物療法を社会に勧めていきたい。秀慈会は薬物50%・非薬物50%を基本にし、本人と家族を一番大切にしている。