前頭側頭葉型認知症の症例検討~適切なケアを目指して~
第16回日本認知症ケア学会大会 (北海道)
平成27年5月23日~5月24日
タイトル:前頭側頭葉型認知症の症例検討~適切なケアを目指して~
演者: 久保田 悠
目的
現在認知症のBPSDに困っている施設は多くあると思われる。その中でも四大認知症の一つの前頭側頭葉型認知症(ピック病)のBPSDには非常に苦慮している施設が多くあると思う。私たちの施設には多くのピック病利用者様がいるが、スタッフの適切な対応により他施設で大変と言われた利用者様も受け入れる事が出来る。今回我々はピック病の症例検討を行い、独自で作り上げてきた最高の対応を研究したので報告する。
倫理的配慮
当施設の従業員・利用者・家族に対し協力の同意を得ている。又、施設長にも発表の承諾を得ている。
方法
ピック病利用者様の日々の動きを知る。どんな時に指示が入り、どんな時に暴力・暴言が出るのか。徘徊(常同行動)はいつまで続くのか。ピック病利用者様の全ての動きから検討した。又、少量薬物療法を行う事でピック病利用者様の日々の変化を記録した。
結果
ピック病の常同行動はずっと続くわけではない事が記録にて分かった。本人の疲れにより休む時間が必ず出てくる。その時に声を掛ける事で非常に指示が入りやすいことが分かる。常同行動を無理に止めてしまう事で本人は抑制されたと思い、暴力が出る事が多くある。又、ピック病利用者様を対象に少量薬物療法を行う事はとても重要である。ウィンタミンは本人を穏やかにし、家族からも感謝される。しかし使用後は厳重な様子観察が必要になる。現在は精神病院からの受け入れも増えた。
考察
少量薬物量法は今後の老健には必要な事であると思う。認知症が増えていく事で精神科だけでは全ての患者を診るのは不可能な時代がいずれは来る。現段階で精神科と連携を取り、お互い協力をしていくのが重要である。少量薬物療法の賛否は分かれるが、私達の行いは家族に感謝されている事に間違いはない。