平成27年度日本デイケア学会
タイトル:感謝の気持ちがデイケアのセラピストに及ぼした意識改革
筆頭演者:医療法人社団 秀慈会 萩の里  小林沙樹(理学療法士)
共同演者:田代圭佑、柴田恭兵、磯部五月、野田博大、田邊真裕、堀井栄作、武士美羽

はじめに

平成27年度の介護報酬改訂により、デイケアは高齢者や障がい者が少しでも自分らしい生活を住み慣れた地域で営めるように、活動・参加機能を向上させることが求められた。つまり、健康寿命を延ばすという役割を提示された。しかし、現状として、利用者の在宅生活を明確に理解し、目標を設定しサービスを提供することは容易ではない。利用者の満足に繋がらず、セラピスト自身もやりがいを見出せないでいる。今回、萩の里通所リハビリテーションに併設する老健で利用者の在宅復帰に関わり、感謝されることを経験して起きたセラピストの意識改革がデイケアのリハビリにもたらした効果について報告する。

目的・方法

デイケアのセラピストが平成26年6月より従来型から在宅復帰強化型老健となった当施設に併設する老健で、在宅復帰に携わり経験する。在宅生活を意識したリハビリを理解し、デイケアのリハビリに活かす。また、今回の報告に関してはプライバシーに関する守秘義務を遵守し、匿名性の保持に十分に配慮した。

考察・結果

セラピストが考えるリハビリ内容が、利用者の心身機能の維持・向上という漠然としたものから、どうすれば在宅生活が安全に過ごせるかに変化し、目標が明確化した。また、利用者の多くは在宅復帰に向けた取り組みに初めは期待が持てずにいたが、徐々に希望を見出し、積極的にリハビリに取り組むことで確実にADL・IADL機能を高めた。できないことができるようになり、自然とセラピストへ感謝の気持ちが芽生え、セラピストもリハビリの本質に気付き、やりがいを感じることができた。そして、病院や入所施設の延長線上にデイケアを考えることができた。

その結果、連携するデイケアの自立支援という役割が明確化された。デイケアのリハビリも現状維持ではなく、利用者にいかに自立した生活を送って頂くかに意識が大きく変化してきた。利用者も引き続き高いモチベーションのままデイケアを利用し、社会参加に対しても積極的に取り組んでいる。

おわりに

できないことができるようになる経験が利用者だけでなく、セラピストにも生きがいを与えた。高齢者・障がい者が在宅生活の中で自身の状態に絶望しても、デイケアが希望を与える場となり、少しでも自分らしい楽しく人生を歩んで頂けるよう支えていく。