【背景、目的】

2025年の超高齢化社会に向け、住み慣れた地域で自分らしく生活していくために、地域包括ケア病棟としては、中重度者が在宅復帰できるように退院支援を強化していくことが重要となる。

当院では、入院時に在宅復帰を希望する中重度者が、入院患者全体の4割程度を占め、その内施設入所へ移行するケースや病院で最期を迎えるケースが7割程度であった。また、リハビリ科としても、臨床業務を行いつつ退院支援業務の質を保つことが難しく、セラピストの経験値により左右され、十分な退院支援が行えていなかった。

そこで、担当セラピストの退院支援を管理しサポートするセラピストとしてリハビリ退院支援オペレーター(以下オペレーター)を1名配置し、退院支援の質を高めるための取り組みを行った。

【方法】

オペレーターが各担当セラピストから、入院目的や現状、中重度者に必要なリハビリ介入など退院支援に必要な情報を収集する。在院日数に合わせ支援が実施されるように、担当セラピストにフィードバックする。

対象者は、在宅復帰希望がある中重度者(介護度3以上、日常生活自立度Ⅲ以上、中重度医療ケアが必要な方のいずれかの条件を満たす者)とし、オペレーター配置前の3ヶ月間とオペレーター配置後の3ヶ月間で、在宅復帰(在宅とみなす施設は除く)を果たした割合をそれぞれ算出し、比較した。

【結果】

・管理前(3カ月間 令和2年9月~11月):在宅復帰率26%、施設入所56%、死亡18%

・管理後(3カ月間 令和2年12月~令和3年2月):在宅復帰率54%、施設入所13%、死亡33%

【考察】

オペレーター配置により、中重度者への退院支援が改善され、在宅復帰者を増加させることができた。しかし、導入後も病院看取りになってしまうケースが全体の3割程度を占めており、オペレーターの介入時期・方法等を再度検討していく必要がある。